第41章 里穂を見逃すな

兄たちはしばし言葉を失った。まるでその瞬間になって初めて、自分たちが母を失って苦しむ西川安菜のことばかり気にかけ、里穂の存在をまるで見ていなかったのだと気づいたかのように。

罪悪感が胸に湧き、叱り飛ばすつもりでいた言葉は喉元で引っかかり、出てこなくなる。

「……それ、どういう意味だ? 俺たちが、お前を気にかけてないって責めてるのか? 自分のしたことはどうなんだよ」

有岡健太の感情は複雑だった。けれど、いまの彼女の顔を見ていると、つい問いたださずにはいられなかった。

「健太兄さん、考えすぎ。そうじゃなくて……こういうのも、悪くないって思っただけ」

有岡里穂の声は淡々としていて、悔しさ...

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